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◆マクストフカセグレンvsマクストフニュートン◆
「マクストフカセグレンとマクストフニュートンの、どちらを選ぶべきか」というご質問をお客様からよく頂きます。単純に見え方だけを比較すると、中央遮蔽の小さなマクストフニュートンがやや有利になるのは事実ですが、それをもってマクストフニュートンを選択すべきである、という結論を出すのは早計です。同口径で比較するとマクストフニュートンの鏡筒長はマクストフカセグレンの倍近くあり、重量もかさみ、赤道儀は1クラス上の大きなものが必要となります。これは「ひょいと手軽に持ち出す」ことが難しくなることを意味し、また架台にかかるコストが(大型機では更にドーム等にかかるコストも)高くなることを意味しています。逆に考えると、同じ架台であればマクストフカセグレンのほうがより大きな口径の機種を搭載することができるわけですし、また見え方の面でも大口径のほうが有利になりますので、マクストフニュートンよりも、あえて1クラス上のマクストフカセグレンを選択するのもひとつの考え方でしょう。またマクストフニュートンはバックフォーカスが短いため、マクストフカセグレンのように双眼装置などのアクセサリー類を無制限に併用することができません。このように、手軽さやトータルコストの安さ、多用性などを追求するのであれば、マクストフカセグレンを選択したほうが良いケースも大いにあり得ます。小さな差異にとらわれ過ぎることなく、使いやすく無理のない機種をお選び頂くことが、最も賢明な望遠鏡選択法であると思われます。
◆主鏡移動式マクストフカセグレンのF値について◆
主鏡移動式合焦システムを採用しているマクストフカセグレンは、主鏡を前後させることによりバックフォーカスの長さを変えてピントを合わせますが、これに伴って合成焦点距離がずいぶん変動します。具体的に言うと、例えばバックフォーカスの短い直視状態ではF10であっても、天頂プリズムに双眼装置を付けて見るような状態ではバックフォーカスが非常に長くなり、実効F値は13〜14程度にまで延びていることも起こり得ます。これはマクストフカセグレンだけでなく、米国製シュミカセや一部の国産カセグレン系など、主鏡移動式合焦機構を採用している全ての望遠鏡に共通して生じる現象です。また実際の使用において必要となるバックフォーカス量(最短50mm〜最長250mm程度)が口径にかかわらずほぼ一定のため、小口径ほど、或いは合成焦点距離が短いほど、比例的に合焦操作に伴う合成焦点距離の変動幅が大きくなります。通常、スペック表などに掲載されている焦点距離はバックフォーカス量50〜100mm(直視状態〜アメリカンサイズ天頂プリズム併用時)における大まかな数値を示していますので、2インチ天頂ミラーや双眼装置などバックフォーカスを長く必要とするアクセサリー類を併用した場合は、実際の倍率が計算値よりも高くなることに留意しておいたほうが良いでしょう。
◆小遮蔽マクストフニュートンの視野径について◆
小遮蔽マクストフニュートンは他の純ニュートンや直焦点写真用マクストフニュートン等と比較して各段に小さな斜鏡を搭載しています。もちろんこれは、光路遮蔽を大きく減じて惑星像のデフィニションを向上させる目的でそのようにしているのですが、特に写真兼用ニュートン系の巨大な斜鏡径を見慣れた方の目には異様に見えるためか、たびたび視野径についてのご質問を受けます。最も多いご質問は「視野がけられないか」というものですが、結論から先に申し上げると、2インチの長焦点・超広角アイピースを用いても、周辺までけられずにきちんと見えます。

雑誌や専門書などに掲載されている「斜鏡径と視野径の計算式」は主に写真用途における有効イメージサークルを算出するためのものであり、これをそのまま眼視観測時における視野径に当てはめるのは誤りです。ラチチュードの狭いフィルムやCCDの場合、例えば周辺光量がほんの数10%減少するだけで、原版上では露骨に周辺減光が表面化します。しかし人間の肉眼はラチチュードが遥かに広いため、たとえ視野周辺の光量が50%を切っても殆ど周辺減光を感知することができません。例えば小遮蔽マクストフニュートンに2インチの最大視野径(φ44mm程度)をフルカバーする長焦点・超広角アイピースを用いて淡い星雲を導入し、視野の中心から周辺に移動させても、その星雲が薄れたり見えなくなったりすることはありませんし、もしも減光を察知できる人が居れば相当の鋭眼の持ち主でしょう。そして、小遮蔽マクストフニュートン本来の使命である高倍率惑星観測においては、実際に使用する視野は数分角からせいぜい数十分角の非常に狭い範囲であり、これは視野径に換算すると僅かφ数mm程度の小さな範囲ですから、けられや周辺減光を心配する必要は全くありません。

(注)但し、限界的に小さな斜鏡を採用しているALTER-PN(F8)シリーズでは、2インチの最大視野径をフルカバーする長焦点・超広角アイピース(EWV-32mm/85゜など)を用いた時に限り、視野最縁辺部の光量がゼロに達し、僅かに細いリング状にブラックアウトすることがあります。
◆小遮蔽マクストフニュートンの機種選定について◆
マクストフニュートンの購入機種を検討される際に、口径から受ける旧来のイメージだけで機種を選定することはお勧めできません。特に惑星観測に的を絞った場合、小遮蔽マクストフニュートンは1クラス上の反射系望遠鏡よりも確実に良く見えますので、「○○cmならこの程度だろう」という思い込みは多かれ少なかれ(良いほうに)裏切られることになるでしょう。マクストフニュートンを最初にお求めになる方は、無理に口径を欲張らずに、12.7cm〜15cmのモデルを選定されることを強くお勧めします。いっぽう、マクストフニュートンは鏡筒が長く重量もかさみますので、1クラス上の反射系望遠鏡が余裕で搭載できる丈夫な架台が必要になります。「○○cmくらいなら気軽に移動が可能だろう」「○○cmならこの架台に載るだろう」といった思い込みも、多かれ少なかれ(悪いほうに)裏切られることになるでしょう。ビクセンGPクラスの小型架台に搭載できるのはALTER-5Nのみで、N140DXはGPDクラスでなければ載りません。6NはタカハシEM-200クラス、7NになるとEM-200でもかなり苦しくなります。なんとか移動できるのはこのあたりまでで、7PNや8NになるとNJPやATLUXクラスが必要となり、庭に持ち出すだけでも大変な作業です。もちろん10N以上になると移動は完全に不可能となり、大掛かりな据付用架台が必須となります。マクストフニュートンをお求めになる際には、以上のことをご考慮の上、無理のない賢明な選択をされるようお勧めします。
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