◆開発コンセプト◆ |
純ニュートンは生来非常に高いポテンシャルを有する望遠鏡ですが、一般に市販されている製品は直焦点写真適性を高めるために巨大な斜鏡や太いスパイダーを採用したり、ポータビリティやコストダウンを重視する余りに筒先を詰めて鏡筒を短縮化したりすることにより、本来の高い性能を大幅にスポイルしているものが殆どです。この事実に鑑み、良像を引き出すための様々なノウハウを結集して製作した望遠鏡が「NERO-200N」です。 |
◆光学系&セル◆ |
GS社製の高精度な主・斜鏡を搭載しています。鏡材には均質性の高い光学ガラスBK7を採用。全ての鏡面は工場内の大型ZYGO干渉計で個別検査され、焦点面波面誤差PV=1/6λ以内、RMS=1/30λ以内という高い精度をキープ。干渉計検査測定写真付保証書も付属しています。通常のアルミメッキ+SiOコートよりも明るい増反射コート(可視光域内平均反射率93%)が施されており、散乱の少ない明瞭な像質が得られます。光軸修正に便利な主鏡中心点表示も完備。主鏡セルには英国ORION-OPTICS社製の9点フローテーションセルを採用。歪みを抑えて主鏡の高いポテンシャルを最大限に引き出します。更に主鏡の押さえ爪を切削する追加工により、外周遮蔽による不規則な回折像劣化を避ける工夫も施されています。斜鏡スパイダー&セルはイタリア・RACK-PERUZZI社製を採用。斜鏡径は直径比遮蔽率20.5%という極小遮蔽に抑えており、1mm厚の4本足極薄VANE型スパイダーと相まって、惑星面の淡い模様を極めて明瞭に検出することが可能です。 |
◆ハイコントラスト鏡筒仕様◆ |
本機の最大の特徴は鏡筒の形状にあります。大胆な変形鏡筒を製作するため、素材にはGFRPを採用しています。筒先を十分長くとり、更に先端を内側に折り込むことにより遮光フードの役割を与えています。接眼部対面の鏡筒内(接眼部−斜鏡を結ぶ直線の延長線上)を内側から大きく凹ませるユニークな構造を採用し、接眼部に混入する反射迷光を大きく減じているのも大きなポイントです。更に主鏡付近の鏡筒径を前方よりも約1割ほど大きくし、更に双方の接合部に筒内バッフルを設けることにより、主鏡面で反射した迷光を効果的に遮断しています。これらの徹底した特別仕様により、本機は昼間の景色を高倍率で見ても色調が全く色褪せないほどの高い像面コントラストを示し、明るい惑星を見ても視野の縁が見えないほどのバックグラウンドの暗さを達成しています。また、前後の鏡筒接続部には楕円形の換気口を複数設けており、更に主鏡セル背面には電動換気ファンを標準装備。主鏡から立ち昇る熱気に起因する筒内気流の排出対策も非常に優れています。鏡筒後部側面には主鏡面のメンテナンスに便利な横窓も設けられており、いつでも主鏡面を綺麗な状態に保つことが可能です。 |
◆接眼部◆ |
惑星用望遠鏡には堅牢で滑らかな接眼部が不可欠です、本機の接眼部には「Kasai DXマイクロフォーカス接眼部」を採用。CNC切削加工による高精度な2インチマイクロフォーカス・クレイフォード式合焦装置により非常にスムーズでバックラッシュの無い円滑な合焦タッチが得られ、惑星観測時のシビアなピント位置を逃しません。超ロープロフィール仕様の31.7mm変換アダプター(48mmフィルターネジ付)も標準付属。接眼部の上方にはファインダー脚用アリミゾ台座も装備しており、GS・ビクセン・SYNTA互換のファインダーやガイドスコープ脚等が装着可能です。 |
◆鏡筒バンド&プレート◆ |
丈夫な鏡筒バンドと汎用アリガタプレートが付属しており、そのまま多くの市販赤道儀に搭載できます。アリガタプレートはタカハシ、SYNTA等と互換性があり、更にタカハシ規格(M8×2/35mm間隔)の互換穴も設けられていますので、タカハシ架台に直接ネジ止めも可能です。 |
◆総合適性◆ |
良像を得ることだけを目的として徹底的に「純化」された本機は、特に月・惑星の眼視観測において高シャープネス・高コントラスト・高デフィニションの3拍子揃った見事な像質が得られます。更に軽量な鏡筒仕様により、比較的小型の赤道儀にも無理なく搭載可能なため、架台コストも大幅に低減できます。本機は像質に妥協を許さないベテラン観測者に、笠井が自信を持ってお勧めできる高性能な特別仕様鏡筒です。 |